2016年9月現在、関西国際空港の職員、幕張メッセのコンサートの参加者、関西国際空港の近くのアウトレットショッピングセンターで、麻疹(はしか)に感染した患者が35人に及んでいると報告されています。

日本の場合、WHOから麻疹の土着株が存在しない「排除状態」の認定を2015年にされたばかりです。

ではなぜ、麻疹が流行してしまったのか、その経緯と予防対策方法についてご紹介します。
※国内に由来するはしかウイルスによる感染が3年間確認されず、ウイルスの遺伝子解析で感染経路を確認している国を排除国として認定している。

追記:2016年9月11日現在、国内の麻疹感染者が115人まで増えたそうです。

今回(2016年)の麻疹流行の経緯

今回(2016年)の麻疹流行の経緯

厚生労働省によると、8月14日に千葉県の幕張メッセで行われたコンサートを観覧した男性が麻疹に感染していたことが判明しました。同じコンサートを観覧していた2名にも感染が広まった疑いがあるそうです。

男性が感染していた麻疹は中国で流行するタイプと判明したものの、男性が渡航した場所とは一致していませんでした。

そこで、国立感染症研究所が調査したところ、男性と同じタイプの患者が5名おり、6名の共通点が7月下旬に関西国際空港を利用していたことが判明したそうです。

この6名の中には関空に勤務する職員も含まれており、同じ職場で麻疹に感染していた職員が26人いたと発表されました。8月下旬以降では感染職員が31人に拡大したそうです。

感染時期がお盆前後とあり、関空の出入国者が1日平均6万人と繁忙時期と重なっていたこととあって、今後も拡大していく恐れがあるそうなので注意が必要です。

2007年には大学生の間で麻疹が流行

2007年には大学生の間で麻疹が流行

2007年にも、首都圏を中心に麻疹が流行しました。

感染者の多くが学生(10代から20代)で、学校という多くの学生が集まって勉強する場なので、集団感染が発生しやすい環境であったため流行年になりました。

流行した背景には、この世代の人たちは麻疹のワクチン接種回数が1回だったために、抗体の数値が低くなり免疫力が下がってきたことが原因で流行してしまったと考えられています。

ちなみに2006年から麻疹の予防接種は2回受けることへと変更されています。

麻疹に注意したい世代は26歳〜39歳

26歳〜39歳の人は、当時の国の方針で、麻疹の予防接種を1回しか受ける機会を設けていなかったのと、その1回の予防接種すら受け漏らしている人が多い世代だからです。

1度のワクチンだけでも、抗体が十分につく人がほとんどなのですが、中には少ししかつかない人もいます。また、抗体も加齢とともに減ってしまうこともあり、幼少期に受けていたのであれば、抗体が十分でない可能性もあります。

母子手帳に、どの予防接種を受けたか記載されているので、親に確認してみるといいでしょう。

26歳以下でも、予防接種はあくまで推奨なので、親によっては副作用を避けるためにあえて受けていない人もいます。26歳以下の人も念のために親に確認をとってみましょう。

麻疹はどんな病気なのか?

麻疹はどんな病気なのか?

麻疹は麻疹ウイルスの感染によって、発熱や咳、目の充血や目やに、発疹などがおこる病気です。

麻疹に発病してしまうと、体力を消耗してしまうほどの重い病気で、最悪の場合、肺炎や脳炎を併発して命にかかわることもあります。

感染しやすい時期は秋から冬にかけて空気が乾燥しやすいときになります。

麻疹の症状

麻疹の症状

出典:ウィメンズパーク

麻疹は約11日間の潜伏期の後に、風邪に似た38度前後の発熱や咳から始まります。

発病から2~3日頃には、口の中をみると、口の粘膜に白い斑点が数個~数十個見えてきます。この白い斑点を「コプリック斑」といい、この症状は麻疹だけにみられる特徴的な症状となります。また、2~3日の発熱後、1度熱が37度台に下がり、再度上昇し始めます。
その頃になると皮膚に発疹が出始めて、本格的な麻疹の症状が始まります。

発病後4日目頃から顔や胸に発疹が出て、お腹や腕、太ももへと広がっていきます。
発疹の色は赤色で、時間とともに増えていき、大小不規則な形へと変わっていき、熱も日ごとに上昇し、発病6日目ころには39度前後になります。この期間を発疹期といい、3~5日間で、咳や目の充血も酷くなり衰弱し始める時期です。

発病から7日目ごろは麻疹のピークで、その後は急速に回復に向かっていきます。
発疹も段々と色が薄くなり、皮膚がむけて、あとには褐色にシミが残りますが、このシミもやがて消えます。

中高年で麻疹になったときの症状

ワクチンの抗体が減り免疫力が低下した中高年世代で麻疹になった場合は、コプリック斑もなく、発熱の期間や症状も異なってきます。

診断方法としては血液での抗体検査などでの診断が必要です。症状が異なっても人への感染力はあるので、自宅療養する必要があります。

なぜ麻疹が危険な病気とされる理由

麻疹が危険とされる理由は

  • ウイルスに感染した場合の発症率が95%
  • 感染力がインフルエンザよりも強力
    (患者1人に対する感染力は、インフルエンザは1~2人に対し、麻疹は12~18人と圧倒的に感染力が強い)
  • 空気感染するタイプなので、広範囲にウイルスが広がる
  • 直接の治療薬がない
  • 肺炎や脳炎など合併症を引き起こすことがある

と、非常に感染力が高いのと直接的な治療薬がないために、麻疹にかかると非常に長い時間重い症状を耐えないといけないわけです。

大人が麻疹を予防する方法

大人が麻疹を予防する方法

9月現在では、まだ流行の兆しが見え隠れしている状況なので、早めの予防対策が必要です。

特に秋から冬にかけては乾燥する季節なので、この時期に急激に流行する可能性も拭えません。

麻疹のワクチン接種を2回受けたか確認する

まず、親または自分の母子手帳で、麻疹のワクチン接種を受けたかどうか確認しましょう。
2回受けている人は、抗体がしっかりとついている可能性があるので感染の危険性は低いと思います。
1回だけ受けている人は、抗体価が少ない可能性があるので、一度病院で抗体検査を受けるようにしましょう。

麻疹の抗体価を確認する

自分の抗体価を知るには病院に行き、血液による抗体検査を行う必要があります。
検査結果は医師からの説明があるので、麻疹に対する免疫力がどの程度が知ることができます。
検査費用も麻疹だけであれば数千円程度で済みますが、病院によってことなるので事前に確認しておくといいでしょう。

麻疹の抗体価が低いようであれば、再度ワクチン接種をする

麻疹の抗体価が低く感染しやすい場合は、ワクチン接種を受けるようにしましょう。
ワクチン接種の効果が現れるのが約2週間後なので、なるべく流行する前にやるのがベストです。
流行中に受けたいと思っても、ワクチン不足で受けられないこともあるので注意してください。

麻疹の抗体価(数値)の判断基準表と見方

麻疹の抗体価(数値)の判断基準表と見方

抗体価は、検査方法によって数値の見方が変わります。

また、抗体があれば陽性、抗体がなければ陽性との判断になります。しかし、陽性で抗体があったとしても基準を満たしていなければ、免疫力が低下しているということなので、予防接種が必要と診断されることもあるそうです。

検査方法として「EIA法」「PA法 」「NT法 」がありますが、感度の高いEIA法かPA法で検査するのが割と多いようです。NT法は検査手技が煩雑で検査結果まで時間が要するので、検査結果にどのくらい時間を要するか確認してみるといいでしょう。

日本環境感染学会の「医療関係者のためのワクチンガイドライン」に記載されている、麻疹の検査別抗体価と目安となる基準値が下記となります。

基準を満たさない
(抗体価陰性)
基準を満たさない
(抗体価陽性)
基準を満たしている
(抗体価陽性)
備考
麻疹
(はしか)
EIA法:2.0未満
PA法:16倍未満
NT法:4倍未満
EIA法:16.0未満
PA法:128倍未満
NT法:4倍
EIA法:16.0以上
PA法:256倍以上
NT法:8倍以上
陽性の判定でも
ワクチン接種が必要

1回または2回、麻疹の予防接種を受けていたとしても、抗体価は減ることもあるので、基準を満たさないケースがあります。

その場合には予防接種を受けた方がいいという判断ができます。

抗体価の検査費用に関しては、保険適用外なので、だいたい5,000円前後が一般的だそうです。いくつか病院に連絡して検査の有無や費用を予め聞いておくといいでしょう。

また、抗体価が十分にあって予防接種を受けても特に問題はありませんので、手間や時間を惜しむ人は、検査を受けずに麻疹の予防接種を受けてしまうのもひとつの方法として検討してみてもいいでしょう。

ウイルスに対する抵抗力を高めて予防する

ウイルスに対する抵抗力を高めて予防する

どうしても、予防接種する時間がない人や、予防接種に抵抗を感じる人は、ウイルスによる抵抗力を高めるのも対策のひとつです。

麻疹に対して100%感染しないってことはありますが、さまざまなウイルスによる抵抗力を高めることはできます。

抵抗力を高めるには強い乳酸菌を摂ることが大切です。乳酸菌には沢山の種類がありますが、しっかりと抵抗力を持ち、長く体内で働いてくれるものを選ぶのも大切です。

まとめ

2007年以降ぶりの麻疹流行の兆しがある今、なるべく早く予防するのが一番の対策方法です。

今回は関空が感染元となっている感じなので、観光やビジネスで利用する人が多く、住んでいる地域が異なる人も多いと予想されます。

今は、都市部で感染が拡大していますが、今後都市部以外にも感染が広がっている可能性も十分にあるので、自分の住んでいる地域は大丈夫だろうと高をくくらず、最低でもワクチン接種回数は確認するようにしましょう。

この記事を読んで、少しでも麻疹に対する予防知識がお役に立てたら幸いです。

この記事を読んだ方は他にこんな記事を読んでいます